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「セツ君には、丙の力になってやってくれるとありがたいと思っているんだが」
丙の力に?
「それはもちろんです。オレが出来ることなら」
いつも助けられてばかりだから、いつか返せるといいと思っている。
でも、どんな助けになれるだろうか。祓師の丙に対し、祓うべき対象である妖のオレが。
「そうか。良かったな、丙。鬼がついてくれるなんてこんな心強いことないだろう」
「え、あの、桃太郎の子孫ですよね?」
「そうらしいが、あくまでも言い伝えだ。今は何よりも丙の味方が一人でも多いほうがいい。妖気が強いのは特にね」
それってつまりどういうことだろう?
丙の兄、甲が家督を継ぐのではなく、六白さんは丙を押すということなのだろうか。力のあるものが継ぐなら、丙はなれないだろうと言っていた。流派の違いで家督を譲りたくないのだろうか。
丙を伺いみるが、表情はいつもと変わらない。
「セツ君は、俺の母の兄であり、正式継承者であった壬さんのお孫さんだから、血筋としては申し分ないんだよ」
「あの、でも、丙のお祖母さんからは、絶縁したから無関係と言われました」
「それは母さんの言い分だから気にしなくていい」
その親子関係にも派閥による軋轢が窺える。
丙の家はこれからどうなってしまうんだろう。
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