四.祓師の会合《ミーティング》

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 今日食べたホテルの凝ったものは難しいが、普通のサンドウィッチとスコーンにデザートなら作れるだろう。今度うちでもやってみようか。 「いい人だな、丙の親父さんは」 「家庭環境複雑そうだったけどね」  そういえば丙の母親の話は聞かないな。母親はどっちの派閥なんだろう。 「穏健派と強硬派がぶつかったらどうなんだろうな?」 「やっぱりそういう争いになるのかな……」 「妖気が強い味方を求めてたんだろ? 穏健派としては見逃した妖の手でも借りたいってとこなんじゃねーの」  丙はそんなことまでして家督を継ぎたいようには思えない。例え強硬派の兄が家を継いでも、自分は自分なりの祓いをしていく、そんな奴だ。  確かに儀鳳に聞いた強硬派の行いは目に余るものがあった。清明先生が言ったように穏健派の悪い面もある。  互いの価値観を認め合うことが出来ればいいのにな。 「そういえば、大天狗って怨霊だって言ってたよな」 「そうだぞ、崇徳上皇の怨霊だ」 「春海は、その人が今どんな様子か知ってる? 丙の親父さんから今の大天狗について聞かれたんだけど」  春海は顎に手を当てて目を瞑って唸る。 「んー今かー、オレも離れて久しいからなー」 「だよな」  そりゃあそうだ、オレと十六年以上人間界にいるんだから。 「それに、怨霊なんて質が悪いから関わるなってジジたちから言われてんだよ」     
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