四.祓師の会合《ミーティング》

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「こっちと同じでそれは誰も知らない。霊界に逝くんだろうっていわれてるよ」 「そっか……」 「きっと暦も霊界にいるんだろうな」  霊界までオレたちのことが伝わっていてくれればと願う。レキさんとうまくやっていくよ。  そうだ、例の話、春海に話すならきっと早い方がいい。 「未だ先の話だけど、オレ高校卒業後、留学的に妖界に行ってみてもいいと思ってるんだ」 「え?」 「レキさんも一緒に暮らそうって言ってくれてたから、お世話になろうかと思ってる」 「な、なんだよ、それ!」  やっぱり春海は取り乱しだした。  目を見開いてソファから立ち上がる。 「ダメだ! 絶対ダメ!」 「危険なのはわかってる、でもこのままじゃオレ、なんにも知らないままなんだ」 「それはわかるけども……」  どうして何もしていないのに世を揺るがすと恐れられたのだろう。どんな妖が命を狙い、どんな妖が護ってくれていたのか。  そんな彼らはどんなところで暮らし、どんな風に生活しているんだ。  なにも知らないまま、いつか殺されてしまうかもしれない。それはやはりやり切れない。 「なにがいけないんだよ」 「それはさぁ……うーん……」  春海は言いづらそうに唸る。  そんなに言い淀む理由はなんだ? 一体なにがあって、オレにもう一つの世界をみせようとしない。     
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