四.祓師の会合《ミーティング》

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「なんだよ」  睨み付けてやると観念したように溜め息を吐くようにぼそりと呟いた。 「……レキと一緒に暮らすってのがあり得ないんだよ」 「あ?」  拍子抜けした。 「あ、そうなの?」  イラついてきていた気持ちが一瞬で吹き飛んでしまい、気の抜けた間抜けヅラをしてしまうと、今度は春海がぷんすこ怒り出す。 「当たり前だろ。一時でもセツを殺そうとしていた奴だぞ?」 「……でも結局殺せなかったよ、彼は」 「奴は出来なくても、その周りはやることが出来た。いつやられてもおかしくなかった。現にセツのじいちゃんやばあちゃんは殺されたんだぞ!」 「……」  そう、祖父母が乗っていた車が崖から転落した時、自分も車内にいた。春海たちがいなければ自分も死んでいたのだろう。  オレが黙ると、春海は慌てて謝る。思い出させてはいけないことを言ったと思ったのだろう。 「ごめん……」 「いや……。オレも忘れてるわけじゃないよ。でも、それをずっと憎むのもアレだろ」  怨みや憎しみや悲しみの感情を抱えたまま生きるのは辛い。自分だけでなく、それを知る周りも同じくらい辛い。     
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