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「オレは人間、人間」
「この清明先生はオレの正体も、セツのことも御存知なんだよね。だからと言って心配することないよ。こいつの弱みもちゃーんと握ってるから」
「弱みとは思ってないけどな」
「そうっすかー? この人、ネクロマンサーなの」
「ネクロマンサー?」
「死体使って低級霊入れ込んで遊んでんだよ」
「趣味、悪くないですか?」
「五月蝿いよ」
ネクロマンサーというものがよくわからないが、オレに十六年黙っていた秘密を以前から共有していたのだから、春海にとってそれなりに信頼のおける者なのだろう。
「で、お前は突き落とした奴の顔は見たのか?」
一瞬のことだったのと、ぼうっとしていたので、殆ど見えていない。
「……知らない奴だったとしか」
「オレはバッチリ」
「え! 顔見たのか?」
突き落とした奴の顔を校庭から見えたというのか!
「いんや。においを覚えた」
「におい?」
「ああ、流石オオカミさんだな」
清明先生が納得げに数回頷く。
そうか、狼は嗅覚が優れてるんだっけ。
「あれは爬虫類のにおいだよ」
「爬虫類? トカゲとか?」
爬虫類の残り香を残すなんて、爬虫類をペットにして飼っている人間だろうか。
「なるほどなー」
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