四.祓師の会合《ミーティング》

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 生まれてからずっと傍に居てくれていることには感謝している。  十二の妖からの贈り物、孤独を分かち合える友は、やっぱり春海なんだろうな。  春海が嬉しそうに笑ってる横に、スッと誰かが座った。 「ではこの家はオレが住もうか」  あぁ、なんかもう登場するタイミング掴めてきた。 「は?」 「き、キツネ!」  九尾の狐、儀鳳だ。  長い白い髪が風もないのになびく。  相変わらず美形だな。 「お前、だから不法侵入すんなって!」 「儀鳳、今なんて言ったんだ?」 「セツも怒ろうよ、ちょっとは」  春海が呆れた声を出す。 「なんかもう言っても無駄だってわかったからさ。それよりこの家に住むとか言わなかった?」 「セツはやはり物分りがいいな」 「セツが諦めてもオレは諦めねーぞ! ちゃっかりオレの横に座んな!」  春海が押し退けようとしたのをひらりと交わして、儀鳳はオレの横に座った。  春海は余計お湯が沸いたやかんのように熱い湯気を放つ。 「言ったぞ。お前たちが妖界で暮らすというのなら、この家は空き家になるのだろう? だったら第二の拠点としてオレが住んでやろうと思ってな」 「お前、立派な聖域持ってるだろ」  彼の家は神社の社殿で、普段はそこで一日の殆どを寝て過ごしているらしい。     
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