四.祓師の会合《ミーティング》

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「栃木は都会から遠い。何かと不便だ」  儀鳳にも近い遠いの感覚あったのか? 「いやいやここはセーフハウスとして今後も使うから、手放すつもりはないし、狐を住まわせるつもりは断じてない!!」 「だが普段は住まなくなるのだろう? 家は人が住まなくなると傷みが早くなる」  それはよく聞くけど、不思議な話だよな。別に住んでいても掃除や草むしりはするが、特別手入れするわけでもないのに。 「どうだ、セツ。オレに貸してみないか?」 「オレの家じゃないから春海に頼みなよ」 「ここはお前の為に用意された家なんだろ。だったらお前が決めていいだろう」  その理屈は自分本位過ぎないか? 「……春海、どうする?」 「こいつは信用ならねぇ」 「自分の好みで判断するなどと愚かなこと。それによって得られるものを考えろ」  春海がカチンときたのがわかる。 「狐野郎、出て行ってくれるー?」 「得られるものって?」  確かに彼のが正論だ。  春海は仏頂面になるが仕方ない。 「掃除や管理は配下の者がやるから心配することはない。我が家は綺麗だっただろう?」 「うん、きちんと整備されていたよ」 「そんなの他の人に貸しても同じことだ」  春海がそっぽを向きながらブツブツ言う。     
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