四.祓師の会合《ミーティング》

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 春海が目を瞬いて感慨深げに呟く。 「そうだろう? 特別居場所を教えてやってもいい」 「ううむ……」 「なに? 春海にとっては揺れ動くところなの?」 「そりゃあ、滅びたとされた種族が、実は生きていたんだぜ。ニホンオオカミが生きていた、みたいなもんだぞ」 「……」  もしニホンオオカミが生きていたら、畑や民家を荒らす鹿や猿に人々は困らなかったかもなぁ。  でも春海の食い付きぶりはイマイチわからない。  自分にとって河童は想像上の生き物で、ツチノコ見つけた、ぐらいの驚きはあるが。先ほど言われた通り、狼男や九尾の狐や天狗が存在するのを知った今、さらには自分が鬼だということがわかった今、それ以上の衝撃はない。 「なぁ、河童ってホントに身体は緑なのか? 頭に皿があんの? 綺麗な水がないと死ぬの? キュウリは好きか?」 「なんだ、セツ。逢いたいのか?」  儀鳳が綺麗な顔で不敵に笑むのはズルい。 「うん、逢えるんだったら逢ってみたいな」  春海を伺うと、口を尖らせながらも、頷く。 「……オレも」  しょうがないなと言いつつ心底ではワクワクしてるくせに。 「では、交渉成立だな」
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