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たどたどしいが淡々としている。
「君、懐かしいー、暦と似てるー」
「え?」
「暦を知ってるの!?」
春海が驚く。
「暦のこと、知ってるよー」
「やっぱりそうだったんだ」
一人だけわけ知り顔で頬を高揚させ興奮している。
そんな春海の様子に先生が確認してくる。
「暦ってお前の母親の名だよな?」
「うん。どういうこと春海?」
まだ嬉しそうにニヤニヤしながら春海が言う。
「暦が人間なのにどうして妖界に来れたのか疑問じゃなかった?」
そう、オレと違って母は純粋な人間のはずだ。
「妖気が高かったからといって、そう簡単に辿り着ける場所じゃないんじゃないかとは思ったけど」
「そうなんだ。どうやって来てるのか聞いたらさ、お友達に手伝ってもらったんだって言ったんだよね。よく川のような匂いがしたから、川関係の妖のことだと思っててさ、人間界で川の妖っていったら川男や川姫に河童だろ」
自分はよく知らないが、丙が頷く。
「中でも河童が一番人間好きだから、きっとそうだと思って、セツと人間界に来た時、協力してもらえそうだと探してみたんだよ。でもこっちに来てみたら、案の定河童は絶滅したって聞いてさ」
春海が河童に逢いたかった理由ってそれだったのか。
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