五.河童の里《ビレッジ》

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 たどたどしいが淡々としている。 「君、懐かしいー、暦と似てるー」 「え?」 「暦を知ってるの!?」  春海が驚く。 「暦のこと、知ってるよー」 「やっぱりそうだったんだ」  一人だけわけ知り顔で頬を高揚させ興奮している。  そんな春海の様子に先生が確認してくる。 「暦ってお前の母親の名だよな?」 「うん。どういうこと春海?」  まだ嬉しそうにニヤニヤしながら春海が言う。 「暦が人間なのにどうして妖界に来れたのか疑問じゃなかった?」  そう、オレと違って母は純粋な人間のはずだ。 「妖気が高かったからといって、そう簡単に辿り着ける場所じゃないんじゃないかとは思ったけど」 「そうなんだ。どうやって来てるのか聞いたらさ、お友達に手伝ってもらったんだって言ったんだよね。よく川のような匂いがしたから、川関係の妖のことだと思っててさ、人間界で川の妖っていったら川男や川姫に河童だろ」  自分はよく知らないが、丙が頷く。 「中でも河童が一番人間好きだから、きっとそうだと思って、セツと人間界に来た時、協力してもらえそうだと探してみたんだよ。でもこっちに来てみたら、案の定河童は絶滅したって聞いてさ」  春海が河童に逢いたかった理由ってそれだったのか。     
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