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清明先生はなにか思い当たったようだ。
「なんか知ってるんですか?」
「この辺に龍人がいるって聞いたことある」
「龍人?」
そういう妖の種類だろうか。
「他校だったはずだが、今日バスケ部が招待試合するから紛れ込みでもしたんだろ」
「もしくはそいつがバスケ部なのかも。それでたまたま鬼の存在に気付いて、ビビって思わず突き飛ばしちまったってとこかな」
「オレの命を狙ってる奴じゃないのか?」
「どうかな。命を狙うにしては甘いよな」
確かに昨日の奴らは容赦なかった。地面がえぐれる威力のなにかを放って来た。この身体で直撃してたら命はなかっただろう。
「それに、そう簡単にセツが鬼の力を目覚めさせたことが広まるとは思えないよ」
「まぁ、そうだな。予めそいつが半分鬼だって知ってたなら別だけど」
「……」
半分鬼か……。
そうか、オレは元から半分鬼で、それは今でも変わらない。
人間として生きていたつもりだったが、力こそ目覚めてなかっただけで半分人間半分鬼のまま生きてきたんだ。今更人間として生きていいのかなんて、愚問だったかな。
「鬼のにおいは殆どないしなぁ」
「もしかしたら犬がべったり張り付いているから、犬のにおいが付いているのかもしれないな」
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