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「お前は、人と妖が共存することを、当たり前で正しいことだと、生まれながらに感じている存在だ」
言われてみればそうかも。
「なぜならお前自身の中で、人と妖が共存できているのだからな」
「……ああ、そっか」
いつからか胸につかえていたものが取れたような気がした。
どうして争うのだろう、なぜ結ばれれてはいけなかったんだろう、いつからふたつの世界は別れてしまったんだろう。同じ今を生きるものたちなのに。
この想いを皆が理解出来ないのも当然なんだ。
彼らは違うものとして生きてきたから。
オレは違う。
オレは元々同じものだから。
まだ出てきたばかりの自分の中の鬼には振り回されてる感覚になることもあるけど、封印されていたから暴れているだけで、そのうち馴染むようになるのがわかっている。
そして、鬼のオレもオレであり、人のオレもオレとして、生きていくのだ。
「我はずっとこの地で人を見守ってきた。人も昔は神を信じたものだが今は信仰も殆ど廃れてしまった。川も汚れ、私の力も弱まりつつある。そのせいで河童たちの数もどんどん減ってしまった。我らは人との共存の難しさを身を持って知っている」
皆は違うものだから共存は難しいことだと感じている。オレは同じものだからどうして争い続けるのかと疑問に思う。
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