五.河童の里《ビレッジ》

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「暦は台風の後の倒木により下敷きとなった我を救ってくれた。お礼に妖界に行ってみたいという望みを叶えてしまったのは我だ。お前がこの過酷であろう運命に囚われてしまったのは我にも責任があろう」  そんな責任を感じて欲しいわけじゃない。運命なんて、誰かのせいであるものではないのだから。  ましてや、妖と人との架け橋になれる唯一の存在なる運命に、文句はない。  責任なんてないと言い返そうとしたが、竜王にはわかってるかもしれない。わかってても素直に言えないこともある。 「お前の力になろう」  水浸しになったかいがあったというものだ。
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