Extra edition2 和室十畳

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 だって、お前がハゲたら、なんかオレのせいみたいじゃない!?  これからは食事も髪にいいものにすべきか。 「ご主人様にタオルドライしてもらって、ホント犬だな、お前」 「オ・オ・カ・ミ! 狼としてのプライドがあんだからね」  ぷりぷりしながらも大人しく髪を拭かせている。  そういえば狼男は満月の晩は妖力が高まり、毛深くなったり、犬歯が鋭くなったりすると言っていたが、あれから注視していても特にそれらしい変化は見ていない。  彼が狼になる姿は何度か見てはいるが、日常の姿からは全く想像できない。犬と言われれば犬っぽいが、春海が怒るので言わない。  夕飯が運ばれてきてズラリとテーブルに並ぶ。 「うまそー!」 「おいしそうだな!」 「いただきまーす!!」  先付、お造り、焼き物、煮物腕、などなど。  やっぱたまにはいいな、こういう食事。  これ凝ってるなぁ。豆腐にあんかけするだけで大分上品な感じになるな、今度やってみよう。 「セツ、刺身食べないか?」  丙がお造りの器をよこしてきた。 「え、いいの? 苦手?」 「生はあまり食べない」  苦手とも嫌いとも言わず、食べないときたか。 「へぇ、じゃあ貰う。先生は苦手なもんとかあるの?」     
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