Extra edition2 和室十畳

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「お前らには一滴足りとも飲ませないから安心しろ、そんな勿体無いことするか」  大人としては正しいことなのだが、なんだか不愉快にさせる言い方だ。 「お前らそこらの大学生より立派に自立してるから楽でいいわ」 「保護者なのに酔っ払うのか」  春海が顔を顰めると、先生も同じ顔をする。 「ほごしゃぁー?」  あれ、もう呂律回ってない? 「セツや丙とは血縁関係にあるかもしれないが、お前は全く関係ないし、そもそも春海はオレより年上だろ」  ズビシッと音がなるんじゃないかって勢いで指を差す。 「ちょ、誤解だ誤解!」  春海は慌てて否定する。 「幼児還りしたって聞いたぞ」  それは閏に聞いた。オレのためにそこまでしたのだと。 「それはしたけど」 「母さんと仲良かったくらいだからそんくらいなのかと」 「狼は身体が大きくなるのが早いんだよ。だから子供の姿の時は短い。そんで、成人すると殆どそのままの姿で生きるの! 暦よりはだいぶ年下だったけど、暦は同じくらいの年だろうと思ってたみたいで……。だから清明より若い、はず!」  結局明かす気ないのかよ。寧ろ自分でもどのくらい生きたのか忘れたんじゃなかろうか。  成長が早いってのは嘘ではないだろう。     
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