六.セイレーンの予言《プリディクション》

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六.セイレーンの予言《プリディクション》

「この河童の写真ネットにアップしたらどうだろうか」  水神さまと会った後、撮ってもらった河童とのツーショット写真を眺めながら考える。  みんなに知ってもらうには拡散してもらうのが早い。  先生が鼻で笑って一言。 「少し騒がれて加工だ偽装だ叩かれて終わるだけだな」 「だよなぁ」  そんなの惨めだからやめておく。  例え本当の事を言っていても、嘘つき呼ばわりされるのはいい気持ちがしない。 「丙は妖の存在隠してないよな。敢えて言いもしないけど」  お陰で変わった奴と言われてしまっているが、彼自身はどちらかというと人を遠ざけたいらしいので調度いいようだ。興味本位で近付いて来る奴がいても軽くあしらっている。  理解出来ない世界を、人はニセモノと捉える傾向にある。  だが、未だに河童やツチノコはいるかもしれないと思われている。UFOやビッグフットなんかもそうだろ。  それは完全にいない、とは言い切れないからだ。  そう、世界にはまだまだ計り知れない部分がある。それをみなわかっているのだ。     
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