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そういう括りで判断するのは如何なものか。
「でも、わざわざオレに逢いにきた。考え方を改めて、この間の件を謝りに来たわけじゃないんだろ?」
半妖だからって、鬼の血が流れているのには変わりない。それを嫌悪されてしまうのは哀しい。
「あ、あんたはこの世を変える存在だという。だから逢いに来たの」
ほら、やはりだ。
そんな力があるのだとすれば、オレはその見方を別の方向へ変えてやりたい。
「この世を変えてほしいからか?」
「そうよ。あなたはすでに鬼の支配下にあった妖界を変えたと聞いたから」
それはオレがしたことではない。結果的にそうなったのは、春海が仕組んだことだ。
「どんな世界に変えて欲しいんだよ?」
「区別のない世界よ」
「それは無理だ」
間髪入れずに否定すると、彼女はカアッと顔を赤くして噛み付いてきそうな様子をみせた。
何か言い返される前にその理由を話してやる。
「区別がないってことは、他人との違いが無くならなければならないってことだろ。それはどう考えても世界は成り立たないよ」
想像しうるみな同じという世界は物凄く気持ち悪い。
「そういうことじゃない。区別をつけて排除しようとする世界が歪んでるの!」
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