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「鬼からしたら歪んでるのは君なんだよ。歪みとはそういうもんだろ」
「っ……!!」
どちらが正で、どちらが誤なんてはっきりしたものではない。
「世界が変わって欲しいやつは、自分が変えてやろうと思いなよ。人に頼るだけで済む簡単なことなの、世界の改変って?」
オレ自身はそんな力など持ってないのに……。
「お前って女には冷たいの?」
「え!?」
黙って聞いていた先生が急に口を開く。業を煮やしたという感じだ。
「女には優しくするもんだって、……まぁ春海は教えてやらねぇか」
別に女の人だからってこうした態度を取ったわけじゃないが、苛立ちが止まらなくなってきていたので、先生が入ってきてくれて少しホッとした。
少し冷静になってみれば、彼女は今にも泣き出しそうな目をしている。オレも折れる気はないが、罪悪感は感じる。
「文月は鬼と恋愛しちゃったばかりに妖界を追われることになったんだ」
マヤさんから聞いた話と違うな。
なんだ、彼女も鬼が好きだったわけか。鬼に憎しみを抱くようになった理由、やっぱりオレは詳しく知りたいと思う。
「それも十五、六年前。タイミング的にはお前が生まれる前後だろうな」
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