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「それって、つまりオレが、半妖として生まれようとしてくる中で、鬼たちの間になにかあったってこと?」
今まで許されたことが許されなくなった? 恋仲であった鬼と別れるだけでなく、その地すら出なければならなくなった?
「セツのせいだという話ではないぞ。でも、少なくとも鬼と人の半妖という存在が現れたことによって、世界に変革があった。お前の周りにいる奴ら以外にも影響があったんだよ」
ああ、本当に世界を揺るがす存在なんだな。自然と苦笑が漏れる。
「悪い。だけどセツだったら知りたいだろうと思ってな」
「生まれながらにして罪深い奴だよね、オレって」
「セツ……」
「ありがと、先生」
そうやって隠さず言ってくれるから先生を頼れるんだ。
礼を言ったのだが、なぜかみてられないとばかりに目を逸らされる。
そんなに堪えてないぞ、オレは。だって今更だろ。
こうなってしまった今出来ることは、その変革が悪い方だけに捉われないようにしていくことだ。
「なぁ、オレと一緒に妖界に戻ってみない?」
「え?」
「オレここを卒業したら妖界で暮らしてみるつもりなんだ。その相手の鬼に逢いに行ってみないか?」
彼女は怪訝そうに眉根を寄せた。
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