二.天地始粛

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「なぁ、あっちの学校にちょっと変わった奴いない?」 「変わった? あぁ、大衍(タイエン)かな?」 「たいえん?」 「ハーフらしいんだけど、めちゃめちゃデカくて、すげぇ目立ってた。北欧の方の国とのハーフだって。白髪っつーかあれは銀髪かな」  かなり変わった毛色の奴だな。 「もうそいついないの?」 「いるいる。えっと、あれ? さっきまで出てたんだけど……」  体育館の中を見渡すが、それらしい人は見当たらない。 「この分だと簡単に見つかりそうだな。龍人の特徴はさ、その体躯と瞳と髪の色なんだよね。それを隠してないなんて、見つけてくださいって言ってるようなもんだな」  妖という存在を知らない人からすれば、異国の血が混じるただの人なのだろう。  春海が余裕綽々と壁に寄り掛かったとき、視界のすみにキラキラしたものを捉えた。 「あ!」 「え?」 「逃げた!」  向かい側の扉に銀髪頭がさっと走り抜けたのが見えた。 「おいおい、ここまで来て煩わしい! 飛ばれたら始末におけないぞ」 「飛ぶのか!?」  空を? こんなとこで人が飛んだら大ニュースだろ。  追い掛けて校庭へ出る。 「おい! 待て!」  春海が追い掛けるスピードをあげる。  龍人も足の長さのおかげでかなり速かったが、犬の脚には敵わない。     
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