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「なぁ、あっちの学校にちょっと変わった奴いない?」
「変わった? あぁ、大衍かな?」
「たいえん?」
「ハーフらしいんだけど、めちゃめちゃデカくて、すげぇ目立ってた。北欧の方の国とのハーフだって。白髪っつーかあれは銀髪かな」
かなり変わった毛色の奴だな。
「もうそいついないの?」
「いるいる。えっと、あれ? さっきまで出てたんだけど……」
体育館の中を見渡すが、それらしい人は見当たらない。
「この分だと簡単に見つかりそうだな。龍人の特徴はさ、その体躯と瞳と髪の色なんだよね。それを隠してないなんて、見つけてくださいって言ってるようなもんだな」
妖という存在を知らない人からすれば、異国の血が混じるただの人なのだろう。
春海が余裕綽々と壁に寄り掛かったとき、視界のすみにキラキラしたものを捉えた。
「あ!」
「え?」
「逃げた!」
向かい側の扉に銀髪頭がさっと走り抜けたのが見えた。
「おいおい、ここまで来て煩わしい! 飛ばれたら始末におけないぞ」
「飛ぶのか!?」
空を? こんなとこで人が飛んだら大ニュースだろ。
追い掛けて校庭へ出る。
「おい! 待て!」
春海が追い掛けるスピードをあげる。
龍人も足の長さのおかげでかなり速かったが、犬の脚には敵わない。
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