六.セイレーンの予言《プリディクション》

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「オレの父親はブラウンズヴィル・オーガのボスだから、一緒にいれば無闇に鬼に狙われることはないと思うんだよね。なんかあっても護るしさ」 「あ、あいつに未練なんて無いもの!」  叫ぶようにそう言う彼女の握りしめられた手には、かなり力が籠ってるようにみえる。 「でも君の一方的な想いだけじゃなかったんだろ? 結果的にこっちに放り出されることになったのは君だけなんだろ。恨み事のひとつでも言ってやりたいとは思わない?」  彼女は下唇を噛んだ。 「オレだったら言いたいね」  運命に負けるなって。  種族が違うからなんだ! 一度は愛した人なんだろ! 最後まで護れよ! 誰かや何かのせいにするな! 抗い闘え! 「私も、言いたい……」 「だろ?」  彼女の頑なだった心にほんの少しだけ焔が灯ったかもしれない。 「よし、じゃあまずはみんなに相談してみるな」  先生が少し笑った。  しょうがないだろ。今はまだ、オレが今すぐ連れてってやるよ、なんて気軽には言えやしない。 「あ、その代わりさ、オレを鬼として一括りでみないでもらえるか?」  やっぱり言っておきたい。 「オレが鬼であることに変わりはないし、変わりようもないことだ。怯えられたり嫌悪の目で見られるのはちょっと辛いかな」 「……ご、めんなさい……」     
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