二.天地始粛

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「そりゃあ見目が違うもん、他の奴らとは明らかに」 「え、見目? もしかして油断すると角出てくるとか?」  自分のデコを恐る恐る触るが、そんな様子はない。どこからどう見ても日本人もしくはアジア人だと思っていたが、わかる奴にはわかる何かがあるのだろうか。 「いんや。セツ、君は自分の美しさをわかってない!」  そっちの世界じゃ、この顔が美しいとでもいうのか? 美的感覚が違うようだ。  放って置かれて多少落ち着いたのか、龍人がなにか言いたそうに見上げている。顔はまだ蒼白い。 「なに?」 「あの、申し訳ないんですが、本当に反省してるので、その、その人ちょっと遠ざけて頂けませんか?」 「え?」  ぶるぶる震える指が真っ直ぐ春海を指している。 「僕、犬が苦手なんです」 「犬じゃねぇって!」 「ひぃ、ごめんなさい、ごめんなさい!」  春海が怒鳴ると身を屈め蹲る。 「なんか、責めるに責められねぇなぁ」  春海は一気に不機嫌になったが。 「大衍!」  体育館側から大声が飛んでくる。バスケのユニフォームを着た人がこっちに向かってすっ飛んでくる。 「お前らなにしてる!」 「ああ、これはオレたちが苛めてるように見えるよな」 「確かに」  目を釣り上げたバスケットマンが滑舌良く声を張り上げる。     
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