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「そりゃあ見目が違うもん、他の奴らとは明らかに」
「え、見目? もしかして油断すると角出てくるとか?」
自分のデコを恐る恐る触るが、そんな様子はない。どこからどう見ても日本人もしくはアジア人だと思っていたが、わかる奴にはわかる何かがあるのだろうか。
「いんや。セツ、君は自分の美しさをわかってない!」
そっちの世界じゃ、この顔が美しいとでもいうのか? 美的感覚が違うようだ。
放って置かれて多少落ち着いたのか、龍人がなにか言いたそうに見上げている。顔はまだ蒼白い。
「なに?」
「あの、申し訳ないんですが、本当に反省してるので、その、その人ちょっと遠ざけて頂けませんか?」
「え?」
ぶるぶる震える指が真っ直ぐ春海を指している。
「僕、犬が苦手なんです」
「犬じゃねぇって!」
「ひぃ、ごめんなさい、ごめんなさい!」
春海が怒鳴ると身を屈め蹲る。
「なんか、責めるに責められねぇなぁ」
春海は一気に不機嫌になったが。
「大衍!」
体育館側から大声が飛んでくる。バスケのユニフォームを着た人がこっちに向かってすっ飛んでくる。
「お前らなにしてる!」
「ああ、これはオレたちが苛めてるように見えるよな」
「確かに」
目を釣り上げたバスケットマンが滑舌良く声を張り上げる。
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