二.天地始粛

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「春海、もういいだろ。オレはなんともないんだから。結果的に怪我したのはお前だけどさ。大衍にも悪気はなかったんだし」  もうすでにお前ピンピンしてるし。  命を狙っての行動ではなかったのだから。 「甘い、甘いよ、セツくんはー。そんなんで生き延びられる?」  その問いは彼の口調とは反して、随分深い意味に聞こえた。  これから先どう生き延びるか、なんて考えたことも無かった。平和ボケした国で生まれ育ったんだから当然といえば当然だ。  これからはそうじゃいられないんだろう。覚悟を決めなければいけないんだ。 「生き延びられるよ、オレは」 「……セツ」  春海には決意を籠めたのが伝わったのだろう。飽きれたような、もしくは吹っ切れたような溜め息と共に、肩を竦める。 「しょうがないな」  なんで半笑いなんだよ。  流石学校を掌握したという春海は、教師も寄って集まってきてしまったその場をすんなり丸く収めた。
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