9人が本棚に入れています
本棚に追加
「春海、もういいだろ。オレはなんともないんだから。結果的に怪我したのはお前だけどさ。大衍にも悪気はなかったんだし」
もうすでにお前ピンピンしてるし。
命を狙っての行動ではなかったのだから。
「甘い、甘いよ、セツくんはー。そんなんで生き延びられる?」
その問いは彼の口調とは反して、随分深い意味に聞こえた。
これから先どう生き延びるか、なんて考えたことも無かった。平和ボケした国で生まれ育ったんだから当然といえば当然だ。
これからはそうじゃいられないんだろう。覚悟を決めなければいけないんだ。
「生き延びられるよ、オレは」
「……セツ」
春海には決意を籠めたのが伝わったのだろう。飽きれたような、もしくは吹っ切れたような溜め息と共に、肩を竦める。
「しょうがないな」
なんで半笑いなんだよ。
流石学校を掌握したという春海は、教師も寄って集まってきてしまったその場をすんなり丸く収めた。
最初のコメントを投稿しよう!