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「普通じゃないって?」
「見た目が他と違ってかなり変わってるってわけじゃないんだけどさ。白くて目が橙で、肉球はピンクで……」
「……肉球まで見たの?」
「いや、そこの塀のとこでだらーんって寝ててさ、ああ肉球ピンクなんだって言ったら、威嚇されたんだよね」
「……」
春海はきょとん顔だ。
「それからオレのこと睨みつけてたり、跡追って来てたりするんだよ」
「懐かれたんじゃないの?」
「だったら足にすりすり寄って来たり、喉鳴らしたりするだろ」
「セツくん、君、猫好きだったんだね……。お兄さん少しショックだよ」
頭をガクッとさげてつむじを向けてくる。
「なにションボリしてるんだよ、別に猫派ってわけではないんだけど。動物全般好きなだけ」
「そ、そっか」
なんか耳をピンと立たせて、尻尾振ってるように見えた。
「お前散々自分は犬じゃねぇって言ってるくせに」
すべての皿を洗い終えて、最後の一枚を春海に渡す。
「さっき雨戸閉めた時も家の前にいたから、まだいるんじゃないかな?」
「オレ新聞取ったけど、見なかったな」
新聞取りはオレの仕事とばかりに朝夕欠かさず食事前に取りに行ってくれる。
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