三.朔風払葉

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「閏、おいで。ようこそ、オレたちの家へ」  玄関で白猫はオレを見上げた。 「足拭きないの?」 「あ、そうだよな。ちょっと待って」  気が利く猫だ。靴を履いてないんだ、足が汚れてて当たり前だ。  濡らしたタオルを敷いてやると、丁寧に足を擦って拭いている。  わきまえてるなぁ、と感心する。 「閏、あんなとこで何してたんだ?」 「別に」  ぶっきらぼうに答える。  猫に対して茶を出すのもどうかと思い、取り敢えずソファに座る。  猫も向かいのソファに飛び乗った。 「そのままだとセツが話しにくいから人型になりなよ」 「は?」  春海の言葉が一瞬で理解出来なくて聞き返す。  すると猫がくるりと一回転したと思ったら、次の瞬間には人間の女のコがソファに腰をかけていた。 「これでいい?」  またまたびっくりだ。  赤茶のパーマがかったロングヘアに、大きなオレンジの瞳が印象的な小さな顔。白い肌に白いワンピースを着て、首に赤く細いリボンを巻いている。  ちゃんと服は着てるんだぁと感心する。たぶん声に出してたらセクハラとでも怒鳴られただろう。 「あ、じゃあ麦茶でも持ってくるから」 「いいって、セツ」 「何も出さないわけにもいかないだろ」     
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