三.朔風払葉

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 家に知人をあげて、茶の一つも出さないなんて、祖父母が聞いたら泣いて悲しむ。 「じゃあオレが持ってくる」  そう言って立ち上がり台所に向かう。  なんだそれ。彼女が話があるのは春海にじゃないのか?  残されたオレは猫の妖となにを会話したらいいのか。 「えっと、閏さんはどこから来たんですか?」 「閏でいいよ、私もセツって呼ぶし」 「オレの名前知ってるんだ」  感心すると、クスリと笑われる。 「妖で貴方のこと知らないのなんていないわよ」 「半人半妖は世界を揺るがすっていうやつ? もしかして閏もオレのことを狙って」 「まさか! 私は猫の妖よ。鬼になんて従うものですか」  彼女は見た目が可愛らしいが、猫らしくプライド高そうだな。 「そういうもんなの? オレを狙ってるのは鬼が中心なんだな」 「そんなことも知らないんだ」  そう、オレは何も知らない。今は自分のことすらわからないんだ。 「あんた、父親に狙われてんだよ」 「え?」 「なに? 春海のやつ、これも言ってやってないの?」  閏は小馬鹿にしたように笑う。 「あんたの命を狙ってきてるのは鬼の中枢ブラウンズヴィル・オーガ、そのトップにいるのが酒呑童子レキ、あんたの父親だよ」  そこではじめて父の名を聞いたというのはおかしいだろうか。     
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