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肩を掴まれて必死に訴えてくる。
オレは今どんな顔してる?
「暦は、君の母さんは、セツが生まれようとしたら死んでしまったんだよ。誰にも防ぎようがなかったし、セツのせいなんかじゃ決してない」
「もう全部話してくれよ、春海」
肩に置かれた震える手に触れる。オレは平気だからと伝えたかった。
春海は隠し通したかったのかもしれない。いづれ話さなければならないとはわかっていても、話したくなかったのだろう。時が来るまでと秘め続けた。
そして今、真実を知ったオレを想って、隠し続けていた後ろめたさで傷付いてる。
春海の隠し事が全部無くなればいい。もうこの役目から解放すべき時だ。
閏を見やると、気まずそうに目を逸らされた。
「取り敢えず麦茶入れ直してくるから、話しまとめておけよ」
春海から離れようとしたが、肩から手を放してくれない。
「ほら、犬っころ!」
閏が背中の服を引っ張って離してくれた。
割れたコップを拾って、細かい破片があると危険なので麦茶を拭いたタオルをそのまま敷いておく。掃除機は朝かけよう。
台所に向かい新しいコップを食器棚から出して、洗ってから氷を入れる。
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