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閏は焦った素振りをし口を噤んだ。
麦茶をテーブルに置くと、春海は顔をあげた。もう迷いはないようだ。
ソファに腰を下ろすと、春海が語り始めた。
「セツの父親、酒呑童子レキも、はじめは暦とお腹にいる君を守っていたんだよ。君が生まれる瞬間まで、君が世界を破滅させると言って命を狙うブラウンズヴィル・オーガと闘ってた」
「ブラウンズヴィル・オーガっていうのは、前に言ってた鬼の規律を守る団体ってやつか?」
「そうだ。最近は鬼以外の妖も、彼らの制御対象になっている」
「つまり妖全体の上位にいる奴らってことよ。勝手に取り仕切ってて気に入らないって人も多いわ」
きっと閏もそのひとり。
「あいつもそれがおかしいって鬼のくせにオレたちに賛同していた。だからオレたちもあいつと、暦の子供を護ると契約を交わした」
「それが十二の妖?」
なんかピンときた。
「そういうこと。でもその十二人は代表に過ぎないよ。その下にもっと大勢の賛同者がいる」
それがこの間、誕生日の時に集まっていた者たちだろう。覚醒したのを確かめに来たんだ。
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