三.朔風払葉

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「オレは十二の妖の一人だから、閏はオレが掛けた願の責任でここにいると思ってるようだけど、そうじゃない。あいつの裏切りで契約なんか無くなった今でも、セツを護り通す。まわりがどう思おうとオレはそうすると決めてる」  閏は口を尖らせて、わかったわよ、と小さな声で返した。  次の日、清明のとこにお茶をもらいに保健室で寛いでいると、ドアがガラリと勢いよく開いたので二人で振り返る。 「みっけ!」  そう大きな声で叫んで自分に向けて真っ直ぐ指を向けたのは、閏だ。 「閏!?」  彼女はなぜかうちの学校の制服を身につけている。 「私も学校ってとこ行ってみたかったのよねー」  いやいや、関係者以外立ち入り禁止だって。 「なんだこの猫娘」  清明先生が訝しげに彼女を見る。  閏の今の格好では普通の女子高生に見えるのだが、先生は猫娘であることを見抜けたということだろうか。 「先生は見た目でわかるんですか」 「ただの感だ……へっくしゅっ」  閏が保健室の中に入ってくると、先生がくしゃみをした。 「保険医が風邪ですか」 「ちがう。オレ、ネコアレルギーなんだよっくしゅ」 「失礼ね、フケなんてないわよ!」  どっちにしろ先生のくしゃみが止まらないので窓を開ける。 「春海ならいないよ」 「知ってるわよ」  そっか、ニオイでわかるか。  ということは、オレのことを探してここに来たということだろうか。 「オレになにか用か?」 「別に」  用もないのに顔を見せにきたのか?     
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