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「オレは十二の妖の一人だから、閏はオレが掛けた願の責任でここにいると思ってるようだけど、そうじゃない。あいつの裏切りで契約なんか無くなった今でも、セツを護り通す。まわりがどう思おうとオレはそうすると決めてる」
閏は口を尖らせて、わかったわよ、と小さな声で返した。
次の日、清明のとこにお茶をもらいに保健室で寛いでいると、ドアがガラリと勢いよく開いたので二人で振り返る。
「みっけ!」
そう大きな声で叫んで自分に向けて真っ直ぐ指を向けたのは、閏だ。
「閏!?」
彼女はなぜかうちの学校の制服を身につけている。
「私も学校ってとこ行ってみたかったのよねー」
いやいや、関係者以外立ち入り禁止だって。
「なんだこの猫娘」
清明先生が訝しげに彼女を見る。
閏の今の格好では普通の女子高生に見えるのだが、先生は猫娘であることを見抜けたということだろうか。
「先生は見た目でわかるんですか」
「ただの感だ……へっくしゅっ」
閏が保健室の中に入ってくると、先生がくしゃみをした。
「保険医が風邪ですか」
「ちがう。オレ、ネコアレルギーなんだよっくしゅ」
「失礼ね、フケなんてないわよ!」
どっちにしろ先生のくしゃみが止まらないので窓を開ける。
「春海ならいないよ」
「知ってるわよ」
そっか、ニオイでわかるか。
ということは、オレのことを探してここに来たということだろうか。
「オレになにか用か?」
「別に」
用もないのに顔を見せにきたのか?
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