三.朔風払葉

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「なぁ、閏っていくつ?」 「はぁ? レディに年齢聞く?」 「いや、ごめん。春海と同じくらいなのかなって。ほら、春海年齢不詳だろ? 考えてみると不思議なんだけど、オレが子供の頃、春海も子供だったんだよ。オレの母親の傍にいたっていくつの時のことになるんだ? 鯖読んでるのか?」  閏が、こいつ心底馬鹿なんじゃない、というような見下した表情をする。 「なんだよ」 「あんた相当大物かも」 「それは褒め言葉だな、サンキュー」 「バッカじゃないの。春海はあんたを護るために、子供の姿に戻ったのよ」 「妖ってそんなこと可能なんだな。あ、そうか化けてるわけだ。じゃあ本当の姿は」 「化けてるわけじゃないわ。身体を退行させたの!」  子供の姿に身体を退行させる? "APTX4869"の作用でなく? 妖ってそんなことまで可能なのか。 「小さな身体でもね、あんたをイジメた五、六人のガキをのして、グッタリした子供の背中のシャツを掴んで、もう一方の手で返り血を拭って……あれはカッコ良かった~」  閏は自分の世界に入り込んだ様子でうっとり陶酔している。  先生が愉快そうに誂う。 「あれ、もしかして犬に惚れてんの?」     
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