四.地始凍

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「いやいや、ホントにセツが生まれた時にみんなで念じたんだよ。こっちでいう洗礼ってのに近いかな」  キリスト教の儀式のことか、新入部員に対し先輩が行う不当な行為のことか。よってこの子には祝福を与えられるだろう、みたいな? 「暦が死んでレキが裏切って、みんな沈んでいた最中だったけど、セツの洗礼の日にはたくさんの妖が集ったんだよ。この間みたいにね」 「その半分は興味本位だろ」 「まぁそれもあるけど」  助け舟を願うように春海がちらりとノーモンを見ると、わかりましたというように頷いて彼が語りだす。 「十二の妖というのは、様々な種族のその代表となる者たちのことです。それぞれ贈り物を与えようと赤子の貴方のもとに集いました。そして、まずはじめに一人目の老齢の天狗が言ったそうです。お父上に劣らぬ強き力を与えよ、と」  強き力……。 「その贈り物っていうのは、ただの願い事?」 「いや。ギフテッド天賦の才と似た感覚かな。妖はそれが神から与えられるわけじゃなくて、一族の長とかに与えてもらうんだ」 「普通は一人にもらうものですけど、貴方は特別ですからね」  人間界で言えば国際結婚のようなものだろうか。いや、違う世界の者同士というならもう少しややこしそうだから、宗教が全く異なる人同士の婚姻だろうか。     
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