四.地始凍

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「続けて二人目の鳥人の長は、鬼であるからには、人を狂い惑わす程の美しさを、と願いました」  狂い惑わす美しさってどんなだよ。 「三人目のコロボックルの長は、例え力があっても、人でも妖でもない彼にはずっと孤独がつきまとうだろうから孤独を分かち合える友を与えようよ、と言いました」  そんな友、いただろうか。オレだオレだと主張する彼は無視する。 「四人目は猿人の長。いずれ我らの上に立つ者となるのなら賢さが必要だ、と。五人目のケンタウロス、下半身が馬の半獣です。鈍重であっては動けないと」 「これには、お前には言われたかないなってみんな突っ込んだな」 「彼は何者にも敵わない素早さを与えました。六人目の巨人族は、どちらの世界をも見通す紅蓮の瞳を。七年目のリザードマンは、ひとりでも生き抜いてゆける(じゅつ)を授けようと」 「セツが料理とか家事全般出来るのはこいつのおかげだな」  賢さと素早さ、世界を見通す瞳に、生きる(すべ)。 「ん、(じゅつ)ってそういうこと?」  魔法とかの術がよかったなぁ、一瞬で掃除や洗濯が終わる魔法が……。 「八人目は人魚。僕の一族の長です。きっと過酷な人生となるでしょう。何物にも汚されない清き心を与え給え」 「人魚らしい贈り物だよな」     
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