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だが、それでも焔は強く燃え盛る。家に燃え移りでもしたらことだ。
「え?」
彼女がなにか言った気がして一歩踏み出す。
次の瞬間、横にいた春海が腕を勢いよく引っ張って一緒にすっ転ぶ。
「うわっ!」
異様な風が真横を通り過ぎた。
「可愛くお兄ちゃんって呼んでくれるような妹が欲しかったのはわかるが、ぼーっとするなよ」
横で尻餅ついている春海が盛大にため息を吐く。
「いや、そんなんじゃないから」
春海の頬にひとすじの赤い線が出来ている。
かまいたちか?
「悪い」
その傷をそっと触れない位に撫でる。
「いえいえ、こんくらいは」
なぜそこで照れ笑いをする。
ノーモンの助けで起き上がって、彼女を見ると薄っすら笑ってる。いつでも焔で巻き取れるとでも言っているかのようだ。
うん、感じ悪いな。
「さっきの風、熱かったな」
「炎風だ」
焔の勢いが増してきた気がする。
春海が腕でオレを制し、ノーモンに指示する。
「炎と風だとわかれば簡単だよな、ノーモン!」
「わかりました」
ノーモンが両手を返し、なにか呟いてから振り上げる。
するとノーモンの少し前のあたりから、突然大量の水が湧いて、焔に降りかかる。
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