四.地始凍

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「みんな待ってくれ。君も、もういいだろ」  春海が手を止めて、オレを見上げる。  この勝敗は着けたくない。その気持ちがわかったのか、彼は仕方ないなというような表情をして立ち上がる。  水を含んだ風の壁の向こうにいる少女に向かって叫ぶ。 「このまま続ければどちらにも被害が出る。それは君も望ましくないだろ?」  彼女は不愉快そうに顔を歪めた。炎風のおかげか濡れた髪は乾きつつある。 「兄貴面するんじゃないわよ! あたしは半分人間の奴が兄だなんて、考えたくもない!!」  なんか複雑だがやめてやるものか。 「君一人じゃオレたちには敵わないよ。レキって奴はそれを分かってて君をよこしたのか?」  チビ鬼たちなど完全に戦力外だ。主人が護るようでは、こちらとは大違い。 「ここに来たのはあたしの意思よ! パパはあんたのことしか考えてない。あんたを殺したくて殺したくて堪らないのよ! あたしのことなんか全く頭にないわ……」  そこはかとなく淋しくていじけている感じがする。 「君は、父親に恨まれたいってわけ?」 「存在を無視されるよりはいいわ」  そんなものなのか? 立場を交換したいくらいだな。     
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