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「君の父親は、今はオレを殺すことしか考えてないかもしれない。でもオレを殺せないことに気付いたら、きっと君の元に戻るよ」
それはそうであればいいという自分の願いでもあった。
オレにはあまり血縁ってのがわからない。父母もまともにいなければ、祖父母も子供の頃に亡くしてるから、血の繋がりがどんな意味をなすのか知りようがないのだ。
それでも、親は子を愛すべきであるという概念はある。いっそオレのことを忘れ去り、彼女のことを想ってやってほしい。
「そんなこと、ありえないわ……」
「ありえないってことはねぇだろ」
「ありえないったらありえないの!」
聞き分けのない子だな。
「あ、あんたなんか、四天王に一瞬でやられてしまえばいいのよ!」
そんな捨て台詞を残して闇の中に消えていった。
「まだ子どもだったな」
「でもツンデレで可愛くね?」
春海が嬉々として言うので、呆れてしまう。
「閏もツンデレで可愛いと思うけど、どうなの?」
「妹キャラのそれとは別だな。しかもあれはただの我儘娘だろ」
「なんか言った!?」
「いえ、すいませーん」
夜は閏の猫目が光って怖い。
「あの子、半分人間ってのに嫌悪感持ってるみたいだったな」
「鬼は特にそれが強いかな。あいつら基本人間嫌いだしな」
「春海は違和感ないのかよ」
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