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「え? オレ? んーだってねー、お前がこーんな産まれたての赤ン坊の時からみてるわけよ。それで違和感感じろってのが無理あるだろ」
なんだか恥ずかしいぞ、それは。
「それに、元々狼男ってのは自分たちは人間だって思ってるんだよね。中途半端なもの同士仲良くしようぜ」
あの子守唄か。中途半端って失礼な奴。
しかし、ちゃっかり後妻さん迎えて娘をこさえてるとは……。ますます父親が理解不能だ。
憎き息子にせこせこ暗殺者送り込まずに、新しい家族を大切にしてやればいいのに。
あの子まで巻き込むなんて、ホントどうかしてる。
「なぁ、今まで向かってきた奴らも、ホントに父親の指示で殺しにきたって奴らなのかな?」
春海が後ろで立ち止まった気配がして振り返る。
「それはわからない……だけど、お前を一番殺したがってるのは間違いなくあいつだよ」
春海が地面を見つめてのろのろと答える。父親が子供を殺したいほど本気で憎んでるなどは言いづらいのだろう。
「それは、母さんの命を奪ったのはオレだから当然だとも思うよ」
「!?」
そう言うと、春海は顔をがばっとあげて噛み付くように叫んだ。
「なに言ってんだよっ!」
目が充血し、本気で怒ってる。
でも今更引けない。
「母さんが命を懸けてまで、生まれてくる必要があったと思うか?」
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