五.天気上勝地気下降

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 なるほど杉山のビビりは兎も角として、見えないはずのものが見えているという1Eのそいつが昨日の黒づくめに違いない。  春海のあの様子だと会っても平気そうかな。  放課後、1Eの教室を覗いてみる。  ホームルームは今終わったばかりのようで、ほぼ全員教室にいる。廊下の窓側に寄り掛かり、教室から出てくる奴をひとりひとり見て行けば見つかるだろう。  1Eに知り合いがいないので、みんな特にオレを意識しないで帰っていく。  殆どの生徒が教室を出て行ったが、それっぽい奴いないなぁと思って、もう一度教室を覗こうとすると。  パッとドアに人が現れた。 「あんた、鬼だろ」 「え!?」  葡萄色の瞳が真っ直ぐオレを見る。  昨夕睨まれたのもこの瞳にだったかもしれない。  なんでわかったんだ。モンスターハンターにはわかるのか。 「害のない妖は放っておくのが流儀だが、うちは桃太郎の家系らしいんだ。桃太郎って言ったら、お供連れて鬼退治だろ?」  桃太郎って桃から生まれたという奴だよな。っていうか、実話だったのかあれ。鬼が実在するとわかった今、御伽噺もノンフィクションになっていく。 「オレを退治する、ってこと?」 「生まれながらの設定ってやつには逆らえないからな」 「設定って……」  漫画やゲームのキャラクタじゃないんだから。     
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