五.天気上勝地気下降

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「明日の放課後、部室棟裏で待ってる」 「おい、勝手に決めんな」  人の呼びかけを無視して帰って行く。  追い掛けない自分も自分だが、追い掛けて退治されでもしたら溜まったもんじゃない。  次の日の放課後、部室棟の裏にのこのこと来てしまった。念のため春海を連れて。  モンスターハンターに呼び出されたなどということを黙ってると、後がうるさいので仕方なく教えると、当然のように着いてきた。  彼はこの間の黒づくめの格好で待っていた。もちろん刀を携えている。  この間は後姿しか見えなかったが、黒い外套の下は紫色の着物を着ている。その格好が純和風といった感じで思わず見惚れてしまう。 「まさか桃太郎侍とは思いもしなかったなぁ。その上身の程も弁えず、鬼退治だとー?」  春海って案外喧嘩っ早いかも。  桃太郎の子孫は全く表情を変えない。 「君は、二年のわんこうじゃないか」 「馴れ馴れしく呼ばれたくないな」  わ、わんこうって! 仮にも先輩、いや、かなり年長者かもしれない相手に対してそんな呼び方は確かにないだろ。 「犬は先祖のお供だからな」 「だれがお供だ! つか犬じゃねぇ!!」  ったく、どいつもこいつも、と悪態をつく。  狼は狼なりにプライドがあるらしい。     
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