9人が本棚に入れています
本棚に追加
「猿とキジ探しているんだがなにか知っているか?」
「キジの話は聞かないが、猿人の話は各地で聞……じゃなくて! 今日セツを呼び出した理由はなんだ? ただ話がしたいわけじゃねぇよな」
「まぁ、この格好を見ればわかるだろう」
その格好がモンスターハント用というわけか。
春海が不敵に笑う。
「やる気なんだ。仕方ねぇな」
やっぱ喧嘩っ早い。
「うおおおーーー!!!!」
大地が揺らぐような遠吠え。
目の前の春海の姿が揺らぐ。地響きとともにどこからともなく風がうまれ、彼の周りを回り、ごうごうと音を上げる竜巻が起こる。
その風が桃太郎の子孫に向かっていき、黒の外套が吹き飛んだ。
「懐かないと思ったら犬じゃなくて狼だったのか」
彼は表情を変えず眈々と言う。
春海の妖の姿は初めて見る。
人間の姿の春海よりひとまわり大きく、四肢が長く、無駄な肉は一片もないようなひき緊まった肉体は、金色の獣の毛が覆ってる。
尖った耳と突き出した口、蒼い瞳の凛々しい顔立ちをしている。
ああ、ホントに狼男なんだ。
「春海!」
「なに、セツ?」
凄いだろとばかりのドヤ顔で、尻尾を振って褒められるのを待っている。
「きびだんごやるから、そこでおすわりして待ってな」
「ええーー」
尻尾が垂れ下がる。
最初のコメントを投稿しよう!