五.天気上勝地気下降

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「猿とキジ探しているんだがなにか知っているか?」 「キジの話は聞かないが、猿人の話は各地で聞……じゃなくて! 今日セツを呼び出した理由はなんだ? ただ話がしたいわけじゃねぇよな」 「まぁ、この格好を見ればわかるだろう」  その格好がモンスターハント用というわけか。  春海が不敵に笑う。 「やる気なんだ。仕方ねぇな」  やっぱ喧嘩っ早い。 「うおおおーーー!!!!」  大地が揺らぐような遠吠え。  目の前の春海の姿が揺らぐ。地響きとともにどこからともなく風がうまれ、彼の周りを回り、ごうごうと音を上げる竜巻が起こる。  その風が桃太郎の子孫に向かっていき、黒の外套が吹き飛んだ。 「懐かないと思ったら犬じゃなくて狼だったのか」  彼は表情を変えず眈々と言う。  春海の妖の姿は初めて見る。  人間の姿の春海よりひとまわり大きく、四肢が長く、無駄な肉は一片もないようなひき緊まった肉体は、金色の獣の毛が覆ってる。  尖った耳と突き出した口、蒼い瞳の凛々しい顔立ちをしている。  ああ、ホントに狼男なんだ。 「春海!」 「なに、セツ?」  凄いだろとばかりのドヤ顔で、尻尾を振って褒められるのを待っている。 「きびだんごやるから、そこでおすわりして待ってな」 「ええーー」  尻尾が垂れ下がる。     
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