五.天気上勝地気下降

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 引き下がって残念というわけではないけど、やや若干拍子抜けだ。 「見張っててやるよ。お前が鬼となって暴れる事がないか」  次の日、見張ると言ったとおり、彼は昼休みに保健室にやってきた。ここでオレが屯しているのを知っていたようだ。 「おや、丙がここに来るとは」  清明がお茶うけに伸ばした手を止め少し驚いた様子で言う。 「丙? 先生、こいつのこと知ってたの?」  モンスターハンターかー確かこの学校にいたな、とかとぼけやがって。 「んー知ってることには知ってるな。忌み嫌われてるけど」 「……」  丙は先生を一瞥しただけで何も言わない。  先生もお茶うけの煎餅を食べ始める。  なんか本当に見張られるだけなんだろうか。丙を見ると、彼もこちらをジッと見ていた。 「なぁ、それって、銃刀法違反じゃねぇのか?」  彼の腰に携えた刀を指して聞く。そんな堂々と持っていてよく誰にも咎められないな。 「これは刀じゃない」  そう言って柄を掴んで鞘から抜く。  あ、刀身がない!  鍔から先が何もないのだ。つまり鞘から抜くと柄と鍔だけになる。 「あれ、この前河川敷で刃が光ってみえたんだけど」 「これは妖気を刀の形に生成する魔具だ。セツが見たのはオレの妖気だ」  あれ、オレの名前……。 「武中家の宝刀だな」     
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