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引き下がって残念というわけではないけど、やや若干拍子抜けだ。
「見張っててやるよ。お前が鬼となって暴れる事がないか」
次の日、見張ると言ったとおり、彼は昼休みに保健室にやってきた。ここでオレが屯しているのを知っていたようだ。
「おや、丙がここに来るとは」
清明がお茶うけに伸ばした手を止め少し驚いた様子で言う。
「丙? 先生、こいつのこと知ってたの?」
モンスターハンターかー確かこの学校にいたな、とかとぼけやがって。
「んー知ってることには知ってるな。忌み嫌われてるけど」
「……」
丙は先生を一瞥しただけで何も言わない。
先生もお茶うけの煎餅を食べ始める。
なんか本当に見張られるだけなんだろうか。丙を見ると、彼もこちらをジッと見ていた。
「なぁ、それって、銃刀法違反じゃねぇのか?」
彼の腰に携えた刀を指して聞く。そんな堂々と持っていてよく誰にも咎められないな。
「これは刀じゃない」
そう言って柄を掴んで鞘から抜く。
あ、刀身がない!
鍔から先が何もないのだ。つまり鞘から抜くと柄と鍔だけになる。
「あれ、この前河川敷で刃が光ってみえたんだけど」
「これは妖気を刀の形に生成する魔具だ。セツが見たのはオレの妖気だ」
あれ、オレの名前……。
「武中家の宝刀だな」
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