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「先生知ってんの?」
「まぁな」
「……」
それ以上語ろうとしない先生も先生だし、丙も先生の言葉が聞こえないかのように無視してるし、なんだろ、この二人。
「妖気って人間でも持ってるもんなの?」
「うちはそういう家系だから」
「妖退治家ってやつ?」
「正確には祓師だ」
「へぇー」
何が違うんだろう。
よくわからないが、妖と戦う術を知ってるってのには変わりない。彼に近付いた理由はそこにある。
「なぁ、ものは相談なんだけどさ。妖と戦う方法、教えてくれないか?」
丙が、先生が、ギョッとした。
「……本気で言ってるのか?」
正気かどうか疑われているようだ。
「この前河川敷で見掛けた時に思ったんだ。人間でも戦えるんだなぁって」
妖にならなくても妖と戦えるんだったら、その方がいい。
「半分人間のお前には効かないかもしれないが、お前の仲間には苦痛となるものだ」
「わかってる」
だけど、護られてばかりじゃいられない。
「お前にもどんな影響が」
「やってみなきゃわからないだろ」
「……お前の考え方、いちいちオレとは合わないな」
やってみなければわからない、も嫌いな言葉?
チャイムが鳴る。
「おら、午後の授業始まるぞ。散った散った」
「はーい」
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