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「まったく、保健室をスタバか作戦会議室かと勘違いしてるんじゃないか」
スタバ代わりの保健室を出かけたところで振り返る。
「先生はどう思います?」
こちらを向いて珍しく真面目な顔で答える。
「お前が自分の身を護るためだって言うなら賛成だよ」
もちろんこちらから妖を害する気はない。
「俺も低級霊を使役するからな。撃退法くらい教えてやる」
「ありがと、先生」
その日の放課後から河川敷で祓師の特訓を受けることにした。春海には部活に入ることにしたと言い、丙に教わることは黙っていた。
丙はかなりのスパルタで、運動不足な点から鍛え直されている。
「きっつ……」
橋から橋の間を行ったり来たり、ダッシュとジョギングを繰り返すことを体力作りとしてやらされ、休憩の声が掛かったところで倒れるようにしてへばっていると。
いつの間にか春海がそこにいた。あれ、もう夕飯の時間かと時計を見ようとしたが、その腕を上げる行為自体がすでにだるい。
「経験値がアップするな」
経験値? ゲームみたいに時をかければ上がるようだったら苦労しない。
「練習する時はちゃんと言えよ」
なんだ、もう春海にはバレてんのかよ。
重くなった身体をゆっくり起き上がらせる。
「ああ。春海たちを攻撃するなんて真似しねぇよ」
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