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「お前、オレがこうなるって知ってたのか?」
こんな化け物のような姿になるって知っていたのか?
「知ってたよ。そんなに可愛くなるとは予想以上だったけどね」
近づいてきて頭に手を伸ばし撫でられる。
シャツは血みどろで、なんでそんなにピンピンしてるんだと思う。その手の下から睨んでやる。
「……説明してくれんだよな」
「うん。取り敢えず周りが落ち着いたらね」
自身の変貌ぶりに気を取られて、攻撃してきた奴らを忘れていた。
影の方を向く。
「一旦引くぞ」
「ちょっと!」
「あんたが敵うわけないでしょー」
「目覚めさせてしまったか」
「間に合わなかった。きっとこの妖力に惹かれて集まってくる」
奴らは逃げていくみたいだ。
オレは奴らをどうしようとしていたんだろう。
きっとこうやって逃げていく背を大人しく見送ることはなかったのだろう。
「十六歳の誕生日、おめでとう」
家に帰って風呂に入り、春海の出血量の割に見合わない傷の手当てをし、ようやく夕飯となった。
「さ、説明してくれんだろ」
「まずは誕生日を祝おうぜー」
「そんな気分じゃない」
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