六.水泉動

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「あれは虎熊童子ユリウスと星熊童子グレゴリオだな。直下の部下が来たってことは、レキの奴、本気でセツを消すつもりだ」 「四天王のお二人ですよね」  ノーモンがビクビクしている。  黒い軍服のようなかちっとした服を着た者が二人、モニターに映っている。  虎熊童子ユリウスと星熊童子グレゴリオ、どちらがどちらかはわからないが、どちらもヤバそうな気を醸し出してる。  一人はあご髭のおっさん。くせのある髪を分けた額からは一本の角が生えている。  もう一人の方は赤毛で、独眼竜政宗のような黒い眼帯で右眼を隠している。こっちは二本の角だ。挑戦的な顔つきでこちらの反応を待っている。  結構身長差があるが赤毛が小さいのか、あご髭が大きいのか。 「なぁ、春海。あいつら黒い羽生えてるけど、オレも生えんのかな」 「お前、自分の命が狙われてるのに呑気な奴だな」  羽が生えたら格好いいじゃないか。空を自由に飛べるんだろ?  ドゴン、と大きな音がした。ドアフォンからだけでなく、外からも響いた。 「うわーこれ塀をやられたな。直したばっかなのに」 「ま、またかよ」  どうして妖は塀壊すんだ? 好きなの、塀壊すの? 「このまま閏の呼んだ助けを待ってはいられないな。ノーモン、時間稼ぎしよう。セツは家ん中にいろよ」 「は? 戦力外通告? ふざけんな、うちの塀だぞ」     
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