六.水泉動

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 叫ぶと同時に放つ。イメージはかめはめ波や波動拳。それはフリーザ様やらダルシムを倒すような威力はないだろう。視覚にも捉えられないが、確実に狙った先は外さない。 「なっ!?」  狙ったのは体躯のある方、あご髭のおっさんが二軒お隣の家の前まで弾き飛ぶ。 「ユリウス!!」  そっちがユリウスか。  それまで門扉のところで口をあぐあぐしていた春海が感嘆の声を上げる。 「おお!」 「結構いい筋してるだろ?」  母が祓師なだけはあるだろ。  だがまだ慣れないせいか、一キロ全力疾走したような怠さがドッと身体に降りてくる。汗が噴き出て肩で息をする。 「おのれ、人間め!!」  赤毛眼帯のグレゴリオが猫目をカッと見開いて敵意剥き出し。 「……」 「余計に怒らせたみたいだな……」  戦いはじめに最大の必殺技を繰り出してMPゼロで戦闘開始はキツい。  グレゴリオが猫のように自分に向けて飛び掛かってくる。  丙がオレの前に出て、光の刀身をもった刀でグレゴリオの勢いを食い止める。 「サンキュ、丙!」  自分はもう少し休憩させてくれないとまともに動けなそうだ。  刀を薙ぎ払うようにしてグレゴリオを飛ばした丙が、春海に向かって叫ぶ。 「二人を離れさせた方がいい!」  見るとあご髭のユリウスが起き上がり出している。  事実上、一体一だ。 「だな! オレとセツはあごひげ、お前は赤髪な」     
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