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丙が右で刀を構えながら、左手の袖で口と鼻を覆って言う。
毒なのか!?
靄が広がりはじめているので、急いで自分も袖で覆う。
「わ、わはった」
閏が居れば風で巻き上げ天高く持っていけただろうが、今のメンバーでは風は巧く使えない。
そういえばノーモンは、と思った矢先、ポツンと頭に水が落ちた。
そして一気に雨が降り出す。
「恵みの雨?」
みるみるうちに黒い靄が雨に取り込まれて無くなっていく。
これはまさか、ノーモンが降らせてるのか?
「その黒い水たまりには触れないでくださいっ」
玄関先にいたノーモンが叫ぶ。道路には黒い靄が取り込まれた雨溜まりが出来ていた。
グレゴリオが凄い勢いでノーモンを振り返る。
「邪魔をするなぁ!!」
黒い槍をノーモンに向かって投げる。
ノーモンが倒れて見えなくなる。
「ノーモン!!」
心臓がグッと締め付けられる感じがした。
グレゴリオがノーモンに向いた隙に、丙が眼帯の死角、右側の背後から斬りにかかっている。
斬撃は避けられたが、やはり死角なのか翼を多少掠めたようで、彼はよろめいた。
ここからでは倒れてしまったノーモンを見ることは出来ない。動くなと言われたが、今の隙をついてノーモンの元に行けないものだろうか。
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