六.水泉動

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 春海がぶすっと膨れっ面で迎える。だいぶお疲れのようだ。  おかげで刺客は去ったじゃないか。  次々と妖がどこからか飛び降りてくる。見知らぬ人ならぬ者たちにじろじろと見られるのが居た堪れない。  でももう安全そうなので動いて構わないだろう。  玄関先に走り寄ると、ノーモンは壁に寄りかかっていた。 「ノーモン、大丈夫か?」 「はい、少し足をやられましたが」  彼の足元にしゃがみ込み、足の傷を診てやる。刺さったわけではなかったので深くはないが擦過傷のようで結構酷い。痛そうだ。 「セツ、やめろ。あの槍が黒い靄と同じ物質だったら触らない方がいい」  そう戒めたのは丙だった。  吸うなといった黒い靄は黒い槍から発生したものだった。確かに同成分のものの可能性が強い。 「そうですね、閏さんに診てもらって洗い流します」 「わかった。閏! ノーモンが怪我したんだ。診てくれる?」  春海たちと立ち話している閏に声を掛けると、彼女は神妙な顔で頷いた。  なにか服が引っ張られるなと気付くと、丙がオレの服のグレゴリオに空けられた穴を吟味するように見ていた。 「助かったよ、丙」 「こんなに味方がいるのなら、はじめからセツの傍にいればいい」     
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