七.草木萠動

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七.草木萠動

「セツ」  廊下を歩いていたら、丙に呼び止められた。 「今週土曜、祓いの仕事が入ったんだが、一緒に来てみるか?」 「え、いいの?」  丙に本格的に祓うところを見てみたいとお願いしていた。この間の河川敷では遠目でこっそりだったり、自分の命が狙われている状況だったりで、まともに祓うというところは見れていない。 「どんな奴?」 「老舗の大店の倉庫になにか出るらしい。詳しくはまだわからない」 「へぇ」  なにか出るって幽霊ってことはないんだろうか? 妖が存在したのだから幽霊というのもいてもおかしくない、と思うようになった。  あれ、でもそうしたら母は今どこかにいるんだろうか……。 「また保健室か?」 「ん? ああ」  丙はあまりいい顔をしない。 「あいつにあまり懐かない方がいい」  懐いたつもりはないんだが。 「あいつがどうしてネクロマンサーになったか知ってるか?」 「いや?」 「恋人が死んで、それをどうしても蘇らせたかったらしい」 「……そうなんだ」  蘇らせるって、どうやってだろう? そんな方法を知りもしない自分だったら、どんなに愛した者がいたとしても、蘇らせようとは思いつかないだろう。     
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