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きっと彼はその方法に覚えがあったのだろう。知っていたから試さざるを得なかった。
「結局それはうまくいかなかったらしいんだが、未だに裏稼業として死霊を扱ってるって話だ」
そっか、死霊を扱うってことは、やっぱり幽霊みたいなものがあるわけか。今度機会があれば母のことを聞いてみてもいいかもしれない。この状況を彼女がどう思っているのか少し気になる。
丙は忌ま忌ましそうに語る。先生の話が出ると、いつも聞きたくないという表情をするんだよな。
「丙、清明先生となんかあったのか?」
「……」
「元から知り合いだったみたいだけど、まともに会話してるの見たことないからさ」
それでもお互い相手が気になってる感じはあるのだ。
丙は嘘はつけない人間だ。だから隠したい事がある時は敢えてその話に触れないようにしている。
でも、オレには話してほしい。先生が悪い奴じゃないってのも知ってるし、丙がただ単に人を嫌うなんてことがないのもわかってるから。
「あいつも、武中家の人間だった」
武中家って丙の家だ。そういえば家宝がどうのこうのって話をしていたな。
「だった?」
「勘当されたんだ。武中の一族として生まれながら、その力をもって死霊を使うなんて許されないことだ」
成る程な。
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