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「それは武中家としての見解? 丙としても許せない?」
「……どう、だろうな。オレが生まれる前にもう武中の人間ではなかったし、オレ自身としては勝手にやればいいとは思う……。だが、道を踏み外した者であることは変わりないから、あまり気を許してはいけない」
「確かにな。大切な人を亡くした悲しみを向けちゃいけない方向に向けたんだ。オレの父親もそうだ」
それでもその危うさが、なんだか放っておけないんだ。
もしかしたら、父親の周りの者もそうなのかもしれない。彼の命令ではなく、彼を助けたいと思う者たちがオレを襲いに来ているのかもしれない。
でも、オレを殺せたとしても、彼は救えないんじゃないかな。
保健室に入ると、清明先生が書類仕事をしていたので自分でお湯を沸かす。
お湯が沸きお茶を入れたところで、先生も仕事を片しはじめる。
「今日春海は風邪か?」
「え? 朝からご飯三杯食べてきたけど、食い過ぎで腹痛起こして保健室来ました?」
あいつのことだからやり兼ねないとは思っていたがついにやったか。
「……? 学校に一緒に来たか?」
「来ましたけど」
帰りは丙との特訓で一緒には帰らなくなったが、朝は変わらず一緒に登校している。
清明先生が納得いかないような顔をする。
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