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「あいつ今日欠席になってたぞ。あいつの担任が珍しいなって言ってたから間違いねぇ」
「え……」
考えるよりも早く保健室を飛び出していた。先生がなにか言ったが聞こえなかった。
なにか嫌な予感がした。
オレにはいつものように一日が始まったように見せ掛けておいて、教室には行かなかったなんて。
あいつなに企んでやがる!
「春海はあんたを護る為に妖界に行ったよ。もうこれ以上親子の争いは見たくないんだって」
カバンも持たずに靴も履き替えずに走って家に帰ると、閏が猫の姿でソファに座って待っていた。
「どういうことだよ、それ」
まだ呼吸が落ち着かない状態なので声が出ない。ノーモンが汲んできてくれてくれた水を一気に飲み干す。
「どういうことだ!」
「お、落ち着いてください。僕らも止めたんですよ。閏さんも着いて行くって言っても聞いてもらえなくて。今日セツくんと一緒に学校に向かったから大丈夫だと思ってたんですよ。でも先ほど妖界にいる知人から連絡がきて、春海くんが来ているぞって」
彼らも謀られたわけか。もしかしたら閏が猫の姿なのは、顔を見られたくないからかもしれない。猫では表情が読めないが、彼女もきっと今すぐにでも追い掛けたいに違いない。オレがいるからこの場に留まらざるを得ないのだ。
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